【事業再構築補助金】認定支援機関別の採択率ランキングTOP5

公開日 2022/12/24更新日 2022/12/24

著者 佐藤淳 / 公認会計士

新型コロナウイルスの感染拡大はなかなか収束を見せず、多くの中小企業は引き続き厳しい経営環境に直面しています。
こうした中小規模の事業者を支援する目的で運営されているのが事業再構築補助金ですが、申請に当たってサポートを行う認定支援機関によって採択率が異なります。

この記事では、全国の認定支援機関における採択率上位のランキングについて詳しく解説します。

事業再構築補助金申請を支援する「認定支援機関」とは

認定経営革新等支援機関(認定支援機関)とは、中小企業支援に関する専門的知識や実務経験が一定レベル以上にあり、国の認定を受けた支援機関(税理士、税理士法人、公認会計士、中小企業診断士、商工会・商工会議所、金融機関など)を指します。

引用:ミラサポPlus 認定支援機関

事業再構築補助金支援を行う認定支援機関別 採択率ランキング

中小企業が事業再構築補助金を申請する際には、自社が単独で行うより、サポート経験と実績が豊富な「プロ」である認定支援機関に支援を依頼したほうがはるかに効果的・効率的です。

そして、補助金申請を依頼するなら少しでも採択率が高い支援機関を選択したほうが良いのは明白です。

そこで、認定支援機関のうち、採択率の高いランキングTOP5(2022年11月現在)について挙げていきます。

なお、比較対象は事業再構築補助金の過去の採択件数が100件を超える認定支援機関としています。
ランキングは次のとおりです。

1位 シャイン総研 (申請168件・採択120件・採択率71.4%
2位 ゼロプラス (申請293件・採択198件・採択率67.6%
3位 石川県産業創出支援機関 (申請166件・採択108件・採択率65.1%
4位 豊橋信用金庫 (申請173件・採択111件・採択率64.2%
5位 碧海信用金庫 (申請254件:採択153件・採択率60.2%

補足:このデータは、中小企業庁が公開している第5次採択結果に基づき、ある民間企業が独自に集計した結果を参照しています。

トップとなったシャイン総研は、東京都千代田区に本拠を置くコンサル企業で、創業以来10年にわたり、延べ1,500社に対して63億円を超える補助金活用をサポートした実績を誇っています。

2位のゼロプラスは、兵庫県伊丹市が本拠で、これまで事業再構築補助金は採択社数259社、補助金額111.1億円、設備投資額231.3億円(2022年11月時点)の獲得実績を有します。

上位2社がコンサル系企業となっているのが特徴ですが、3位以降は地域密着型の金融機関となっています。

なお、このコラムを主催している株式会社Stayway(代表取締役佐藤淳:属性・公認会計士)は、自身も事業会社を経営しており、補助金や融資の獲得を行っているため、経営者の目線でのサービス提供が可能なメリットを備え、これまでの支援実績数が20件以上、採択数は15件で、採択率は75%と高いレベルを誇ります。

事業再構築補助金の過去採択率

事業再構築補助金における、過去6回の全体での採択状況は次のとおりです。

応募(件) 採択(件) 採択率(%)
1次公募 22,231 8,016 36.1
2次公募 20,800 9,336 44.9
3次公募 20,307 9,021 44.4
4次公募 19,673 8,810 44.8
5次公募 21,035 9,423 44.8
6次公募 15,340 7,669 49.9
7次公募 15,132 7,745 51.2

過去の状況を概観すると、採択率は1次公募が36.1%と低い状況ですが、2次以降では概ね45%弱まで向上し、直近の6次公募では5割近くと、さらに採択率が上昇しています。

現在実施中の8次公募の期間は、2022年10月3日から2023年1月13日までとなっています。

事業再構築補助金が不採択となる理由

事業再構築補助金を申請したものの、不採択となってしまう場合があります。過去の採択率をみると、申請者の半数以上が不採択となっているのが現状です。

以下に、不採択となる主な理由について解説します。

書類に不備がある

事業再構築補助金の申請書類に不備がある場合には、不採択になることがあります。事業再構築補助金の申請要件を満たす旨を提出書類で明確に証明できなければ、申請者は事業再構築補助金の対象にならないためです。

書類不備の例として、以下のような事例が挙げられます。

  • 申請要件を満たすために必要な書類が不足している
  • 申請フォーマットが異なっている(Excel書式指定なのにPDFで提出するなど)
  • 事業者名が各書類によって異なっている
  • 添付された書類にパスワードがかかっており、確認できない

こうした書類不備を予防するため、事業再構築補助金の事務局では書類不備の事例をまとめた「電子申請にあたってご注意いただくこと」という資料を公開しているので、確認しておくと有利です。

参照:事業再構築補助金事務局

事業計画書の内容が審査項目を満たしていない

また、事業計画書の内容が不十分である場合にも、不採択になることがあります。事業再構築補助金の趣旨に合致していなかったり、申請する枠の要件を満たしていなかったりする場合には、事業再構築補助金の対象にならないためです。

事業計画が不十分だと判断される主な事例を挙げていきます。

  • 審査項目に合致していない
  • 投資計画に合理性がない
  • 自社の強みや競合の分析が不足している
  • 補助対象外の経費を申請している

一例を挙げれば、付加価値額が3~5年で年率平均 3.0%以上にならない事業計画の場合には、付加価値額要件を満たせないため、審査項目としての「補助対象事業としての適格性」を満たしていないと判断されます。

事業再構築補助金への採択率をあげるには

せっかく事業再構築補助金に応募するのであれば、上記のような不備を防ぐ一方、少しでも採択率を上げる努力をする必要があります。

採択率を上げる方法やポイントについて解説します。

事業環境の分析をしっかりと行う

まず、自社の置かれた事業環境について分析をしっかり行うことが重要です。その際のポイントは次のとおりです。

  • 事業再構築補助金の目的に沿った事業を実施するのための体制(人材、事務処理能力など)を整えているか
  • 最近の自社の財務状況に鑑み、補助事業を適切に遂行できると期待できるか
  • 金融機関からの資金調達が確実に見込めるか
  • 競合他社の動向を分析し、市場ニーズを把握しているか
  • 補助事業の成果としての事業化によって貢献するユーザーやマーケット、市場規模が明確か

上記のいずれも、申請に当たっては必要不可欠な要素なので、認定支援機関とも相談の上、十分に準備・対応することが大切です。

事業内容を明確にする

次に、自社の事業内容を明確にすることも大切なポイントです。

自社の変遷と現状を明確に説明する

事業計画書の冒頭で示すべきなのが「自社のこれまでの変遷」です。

自社の創業の経緯や成長までの変遷、また経営者がどのような理念を持っているかを記載します。この記載があれば、審査員もその企業の成長過程や考えを理解・共有できます。

自社の現状について説明する

自社が現在どのような状況にあるかについて説明し、審査員に理解してもらうことが大切です。ここでポイントとなるのは、コロナ禍による影響です。

審査項目には「既存事業における売上の減少が著しいなど、新型コロナウイルスの影響で深刻な被害が生じており、事業再構築を行う必要性や緊要性が高いか」をチェックする項目があります。

このため、事業計画書にコロナ禍の影響を明記することで、審査員の印象に残りやすいメリットがあります。

競合や市場の分析を徹底する

最後に、競合他社や市場動向について分析します。

競合他社の動向や市場環境を分析することで、補助金受給の成功確率を高めることが可能となります。事業再構築補助金では、競合他社分析も重要視される要素の一つであり、公募要領の審査項目にも次の記載があります。

「事業化に向けて、競合他社の動向を把握すること等を通じて市場ニーズを考慮するとともに、補助事業の成果の事業化が寄与するユーザー、マーケット及び市場規模が明確か。市場ニーズの有無を検証できているか」

こうした評価ポイントに応えることで、採択率を向上させることが可能です。

まとめ

事業再構築補助金の申請にあたり、認定支援機関別の採択率ランキングTOP5と過去の採択状況、また不採択となる理由や、採択率を上げるための方策などについて詳しく解説しました。

この補助金は現在公募中のものを含めて通算8次にまで及んでおり、多くの中小企業にとって大きな力となる支援策です。

是非、応募を検討の上、今後の事業発展を目指していただきたいものです。

中小企業庁認定 経営革新等支援機関 有限責任監査法人トーマツ(Deloitte Touche Tohmatsu)の東京オフィスに6年間、シアトルオフィスに2年間勤務。 2015年よりアジア最大級の独立系コンサルティングファームの日本オフィスにて事業戦略の構築支援、M&Aアドバイザリー、自己勘定投資の業務に従事

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