【2022年度】店舗改装に利用できる補助金・助成金4選!

公開日 2022/12/24更新日 2023/03/09

著者 補助金クラウドマガジン編集部 / 公認会計士 / 経営革新等支援機関チーム

商業店舗を経営する事業者にとっては、老朽化したり不具合が起きたりする設備をタイムリーに改装・修繕し、利用者の維持・拡大を図ることが必要ですが、その際には、当然ながら費用が発生します。

この記事では、店舗改装の際に利用できる補助金と助成金について詳しく解説します。

店舗改装に利用できる補助金・助成金

店舗を運営する事業者が設備を改装する際、必要となる費用を支援する補助金や助成金があります。

国や自治体の補助金や助成金を活用することで、費用負担を軽減しながら店舗の改装やリニューアルが可能となります。

以下に、店舗改装やリニューアルに活用できる主な補助金と助成金について解説します。

事業再構築補助金

事業再構築補助金は、新分野展開、業態転換、事業・業種転換、事業再編など思い切った事業再構築にあたり、中小企業の挑戦を支援する、経済産業省主管の補助金です。

予算総額は令和2年度第3次補正予算で1兆1,485億円、令和3年度補正予算で6,123億円、令和4年度予備費予算で1,000億円もの金額が確保されており、コロナ禍における経済復興の目玉ともいえる計画です。

主な補助対象企業は次のとおりです。

  • 売り上げが減っている:2020年4月以降の連続する6ケ月間のうち、任意の3ケ月の合計売上高が、コロナ以前の同3ケ月の合計売上高と比較して10%以上減少していること
  • 事業再構築に取り組んでいる:事業再構築指針に沿った新分野展開、業態転換、事業・業種転換を行うこと
  • 認定経営革新等支援機関と事業計画を策定する:補助事業終了後3~5年で付加価値額の年率平均3.0%(グローバルV字回復枠は5.0%)以上増加、または従業員一人当たり付加価値額の年率平均3.0%(同上5.0%)以上増加の達成を見込む事業計画を策定すること

補助上限額は、従業員規模に応じて2,000万円、4,000万円、6,000万円、8,000万円の枠が設定されています。令和4年度補正予算より、上記類型から再編が行われる予定です。

参照:経済産業省

小規模事業者持続化補助金

小規模事業者持続化補助金は、中小企業や個人事業主などの販路開拓、生産性の向上、持続的発展を支援する制度で、機械装置費用などのほか、ウェブサイト関連費用や旅費、資料購入費など、店舗改装を含む設備投資に関する様々な費用が補助の対象となります。

小規模事業者持続化補助金の補助上限や補助率は概ね次のとおりです。なお、令和4年度第2次補正予算分以降、一部内容の拡充が行われています。

  • 補助額:上限50~250万円
  • 補助率:2/3(賃金引上げのうち、赤字事業者は3/4
  • 補助対象経費: 機械装置等費、広報費、ウェブサイト関連費、展示会等出展費、旅費、開発費、資料購入費、雑役務費、借料、設備処分費、委託・外注費

参照:全国商工会連合会(小規模事業者持続化補助金)

業務改善助成金

業務改善助成金は、設備投資などで業務改善を図ると同時に、事業場内での賃金を一定額以上引き上げる中小企業・小規模事業者に対して、業務改善に要した経費の一部を助成する支援制度です。

助成対象となるための条件は次のとおりです。なお、令和4年度第2次補正予算分からは、一部要件拡充が行われる予定です。

  • 中小企業事業者であること
  • 事業場内最低賃金と地域別最低賃金の差額が30円以内であること

業務改善助成金の申請にあたっては「賃金引上計画の策定」が必要で、これを実現した場合に経費の一部が助成されます。

助成上限額としては、賃金引き上げ対象となる従業員数や引き上げ金額に応じて、30万円から最大600万円まで受給することが可能です。

なお、2022年度補正予算案では「事業場内最低賃金」の引き上げを拡充する方針が下記のとおり示されました。

  • 助成上限額:特に最賃引き上げが困難な事業場規模30人未満の事業者に対して、助成上限額を引き上げ
  • 助成対象経費:特例事業者の助成対象経費を拡充
  • 事業場規模:100人以下とする要件を廃止

参照:厚生労働省

受動喫煙防止対策助成金

受動喫煙防止対策助成金は、企業が受動喫煙防止対策を推進することを目的として、一定の要件を満たすために設置する専用喫煙室や、指定たばこ専用喫煙室に係る必要経費の一部を負担する助成金です。一般的な助成金とは異なり、工事の実施前に申請が必要なことがこの助成金の大きな特徴となっています。

なお、この助成金は「喫煙設備の設置・改修に特化した」制度のため、店舗の改装やリニューアルに伴って喫煙室を設置したい場合に限って適用されます。

助成対象となるのは、労働者災害補償保険の適用事業主で、中小企業事業主であることが要件です。

助成率は、喫煙室の設置などに関する経費のうち、工費・設備費、備品費、機械装置費などの2/3(主たる業種の産業分類が飲食店以外は1/2)で、助成額は上限100万円となっています。

参照:厚生労働省

補助金・助成金活用のメリット

店舗改装に際して利用できる補助金・助成金について解説しました。
店舗改装を含め、企業が活用できる補助金や助成金の一般的なメリットについて解説します。

返済義務不要の場合がある

補助金や助成金を受給する際の直接的なメリットとしては、まず第一に返済義務不要の場合がある点が挙げられます。

一例を挙げれば、ある企業が3,000万円規模の新規事業を始めようとした場合、自己資金だけでは賄(まかな)えない足りない際には、銀行や信用金庫などの金融機関から融資を受ける必要があります。当然ながら、借入れた資金は全額に加えて利息も返済する必要があります。

これに対して、補助金や助成金の多くは必要な費用の2/31/2を支援されるため、その部分は返済不要であり、事業者にとって大きなメリットとなります。

コストを抑えられる

上記と連動しますが、補助金や助成金を活用することで、一般的な借入れと比較すれば費用負担が大幅に軽減され、コスト抑制につながるメリットがあります。

補助金・助成金活用のデメリット

一方、補助金や助成金を利用する場合にはデメリットもあります。
メリットに続き、デメリットについて解説します。

申請に手間がかかる

補助金や助成金の申請に際しては、関連する説明会への参加や、膨大な書類作成、また書類の提出や面接などに事務局へ何度も足を運ぶ必要があるなど、非常に煩雑な手続きが必要となります。

また、申請後に無事採択されて補助金や助成金が受給できても、その後に必要となる事業報告は、それに伴う事務処理にも多くの手間がかかります。

こうした煩雑な手続きを完全に遂行しなければ、補助金や助成金が受給できないのが大前提です。

入金まで時間がかかる

補助金や助成金は、主に中小企業や小規模事業者を支援する目的で運営されていますが、採択後の給付は「後払い」が原則です。また、採択後に実際の受給額が振り込まれるまでにはかなりの時間がかかるのも事実です。

このため、補助金や助成金を受給するに当たっては、先に自己資本で事業展開し、その後給付される金額で補填することとなります。

上述した補助金・助成金のうち、受動喫煙防止対策助成金は例外として挙げられますが、原則としては補助金や助成金を店舗改装・リニューアルの原資として活用することはできないと理解することが大切です。

必ず受給出来るわけではない

補助金も助成金も、申請したからといって必ず受給できるわけではありません。補助金・助成金に分けて、具体的に解説します。

補助金:採択される必要がある

補助金の目的は「国や地方の経済活性化」であり、補助金を受給したい事業者は、補助金の趣旨や目的に沿った事業展開を行うことを事務局から認められる必要があります。

具体的には、事業計画書を作成して受給申請し、審査を経て事務局から当該事業計画が採択され、ようやく補助金が給付されます。

ちなみに、補助金の採択率は概ね40%~50%程度といわれており、そう簡単に受給できないのが現状です。

助成金:条件を満たす必要がある

助成金は、補助金と異なり、採択枠や採択率といった制限はなく、申請内容に瑕疵(かし)がなければ基本的には採択されますが、申請する際には「一定の条件を満たす受給資格」が求められます。

受給資格はそれぞれのプログラムによって異なりますが、大前提として、経営者自身が社会保険に加入していることが必須です。

助成金の目的は「労働者の雇用安定と職場環境の改善」であり、その財源も雇用保険などをベースとしています。
このため、助成金の対象となるのは、労働保険に加入する従業員が在籍している事業者が前提となります。

まとめ

店舗改装の際に利用できる補助金と助成金、またメリットやデメリットについて詳しく解説しました。

この記事を読んで、店舗運営をしている事業者は是非、関連する補助金や助成金を有効活用し、経営改善を図っていただきたいものです。

補助金クラウドマガジン編集部です。国や地方公共団体と連携しながら、補助金をお届けします

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