【事業再構築補助金】申請の流れを解説!採択後の手続きとは

公開日 2023/03/27更新日 2023/03/31

著者 佐藤淳 / 公認会計士

※記事内容は記事更新日時点の情報になります。最新の情報は必ず省庁や自治体の公式HPをご確認ください。

事業再構築補助金は、ポストコロナ・ウィズコロナ時代の経済社会の変化に対応するための企業の思い切った事業再構築を⽀援する補助金です。

この記事では、同補助金の申請を検討中の方に向けて申請や採択後の流れについて解説します。

申請に関する流れ 

出典:事業再構築補助金 第9回公募要領

事業再構築補助金は、補助金受給を希望する事業者が事業計画を立てた後、応募申請を行います。

審査を通過して採択通知を受け取った後、交付申請が認められれば、補助金を受給できます。

申請から補助金受給までの大まかな流れは、以下のとおりです。

  • 応募申請
  • 採択通知
  • 交付申請
  • 補助事業実施
  • 実績報告
  • 補助額確定通知
  • 請求
  • 支払い(受給)

各項目の詳細は次に解説しますが、補助金申請の際は、各補助金の公募要領、交付規程、補助事業の手引きなどを必ずご確認ください。

申請準備 

申請準備には、主に3つの項目があります。

事業計画の策定、事業計画書の作成

補助金の申請をする際、「事業計画書」が必要です。

認定支援機関とともに事業計画を策定し、事業計画書を作成してください。

最大15ページ(補助金額1,500万円以下の場合は10ページ以内)をword等で作成し、PDF形式に変換したファイルを電子申請システムで提出します。

「GビズIDプライムアカウント」を取得

補助金申請の手段は、電子申請システムを使ったオンライン申請のみです。

オンライン申請をする際、「GビズID プライムアカウント」の取得が必要となります。

アカウントの取得申請から取得までに要する期間は、目安として約1週間です。さらに時間がかかる場合もあるため、早めに取得手続きをしておきましょう。

「GビズIDプライムアカウント」は、事業採択後の補助金交付申請時にも利用します。

参照:GビズID 公式HP

提出必要書類の準備

補助金申請には、10種以上の書類提出が必要です。

加点を希望する場合や複数の事業者が連携して事業に取り組む場合など、要件によって必要な書類がさらに増えることもあります。

申請する際は最新の公募要領をよく読んで確認し、漏れのないよう準備・提出してください。

参照:事業再構築補助金 第9回公募要領

応募申請 

申請受付が始まったら、所定の期間内に「GビズID プライムアカウント」で専用サイトにログインし、電子申請システムの操作マニュアルに従って必要事項を入力します。

さらに、事前に準備した必要書類を添付して送信します。

参照:GビズID 公式HP

採択結果通知

採択の決定後、事務局が申請者全員に採択・不採択の結果を通知します。

採択となった案件については、受付番号、商号または名称(法人番号を含む)、事業計画名(30字程度)、認定経営革新等支援機関等名、認定経営革新支援機関等担当者名、認定経営革新等支援機関等以外の外部支援者名等が公表されます。

形式的な不備等によって申請要件を満たさなかった申請者に対しては、採択結果の公表前に、事務局から通知されます。

採択後の流れ

出典:事業再構築補助金公式HP 採択後の流れ・資料

事業再構築補助金は、応募申請をしただけでは受給できません。採択後の流れも重要となるので、詳しく解説します。

交付申請 

補助金を受給するには、応募申請に加えて、採択後の交付申請が必要です。

交付申請を行わないと、補助金を受給できなくなってしまうので注意しましょう。

採択後、補助対象経費を精査し、補助金交付申請をおこないます。

審査の結果、補助対象経費として認められない経費が含まれている場合、交付決定額が応募時に計上している申請額から減額される場合があります。

また、交付決定額が採択決定時点の補助金申請額を上回ることはできません。

補助事業実施期間

補助事業の実施期間は、交付決定日~12 か月以内(ただし、採択発表日から 14 か月後の日まで)と定められています。

この期間内に、補助対象となる事業の実施および設備の購入や建物の改修などをおこないます。

補助額の確定 

補助金の最終的な金額は、交付決定後、確定検査を経て確定します。

申請検討をする際、交付決定額が、応募時に計上した金額から減額となる場合があること、原則「後払い」であることに注意しましょう。

補助金の請求・受給 

補助金の支払いは、原則、補助金額の確定後の精算払となります。

必要があると認められる経費については、事前に事務局の承認を得たものに限り、概算払を受けることができます。

概算払いを希望する場合は、「補助金概算払請求書」をはじめ追加書類の提出が必要です。

事業再構築補助金化状況の報告

出典:中小企業庁 事業再構築補助金の概要

事業再構築補助金の採択後、以下3段階で報告が必要です。

  • 遂行状況報告(事業中間報告)
  • 実績報告(事業完了報告)
  • 事業化状況等報告(補助事業の成果報告)

それぞれについて解説します。

【遂行状況報告】

遂行状況報告とは、補助事業開始から約3ケ月後に行う中間報告です。

補助事業の進捗や補助対象経費の区分別収支概要を事務局に伝えるための報告です。

事務局から報告指示を受けた事業者のみ実施するものですので、事務局から報告指示のメールが届いた場合は指定された期限内に報告書を提出してください。

【実績報告】

実績報告とは、補助事業完了後、補助事業を採択された内容通り遂行したことを報告するものです。

補助事業を完了したときは、その日から起算して30日を経過した日又は補助事業実施期間終了日のいずれか早い日までに補助事業実績報告書を提出しなければなりません。

電子申請システム「Jグランツ」で、実績報告書の入力、証拠書類を提出します。

指定された期限内に提出できない場合、交付決定は取消となるので、注意が必要です。

【事業化状況等報告】

無事に補助金を受給した後、補助事業完了日の属する年度も含めて、以降5年間、フォローアップとして合計6回の「事業化状況等報告」をする必要があります。

事業化状況等報告とは、事務局が補助金が適正に活用されているかどうかを把握することを目的として、事業者が補助金を受け取った後に、補助事業の成果(事業化や知的財産権の譲渡)の状況などに関して行う報告です。

不採択となった場合 

不採択となった事業者は、再度申請することができます。ただし、前公募回の採択結果が公表されるまでの間は、システム上で申請できません。

不採択の通知を受けた場合は、その理由を事務局に確認し、改めて再申請の準備を進めましょう。

再申請に向けて必要な準備は、次のとおりです。

  • 不採択になった理由を事務局に問い合わせる
  • 認定支援機関への依頼内容を見直す
  • 再申請前に最新の公募要領を確認する

なお、応募枠ごとの再申請への対応は次のとおりです。

  • 大規模賃金引上枠、回復・再生応援枠、最低賃金枠で不採択の場合:通常枠で再審査
  • グリーン成長枠、緊急対策枠で不採択の場合:通常枠での再審査が可能

一度交付決定を受けた事業者は、原則、再申請することはできません。ただし、「グリーン成長枠」については、一定の条件を満たす場合に限り、既に採択されているまたは交付決定を受けている事業者においても申請が可能です。

参照:事業再構築補助金 第9回公募要領

過去採択率

事業再構築補助金で公表されている採択結果のうち、最新回の結果は以下のとおりです。

【第7回】

申請者数 15,132者
採択数 7,745者
採択率 約51.2%

まとめ

事業再構築補助金における申請および採択後の流れについて詳しく解説しました。

この補助金は、令和5年度以降も実施される予定です。

補助金の申請から採択後までの流れを把握したうえで申請を行い、事業の維持・拡大にお役立てください。

中小企業庁認定 経営革新等支援機関 有限責任監査法人トーマツ(Deloitte Touche Tohmatsu)の東京オフィスに6年間、シアトルオフィスに2年間勤務。 2015年よりアジア最大級の独立系コンサルティングファームの日本オフィスにて事業戦略の構築支援、M&Aアドバイザリー、自己勘定投資の業務に従事

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