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全国の小売業事業者を支援するため、国や自治体はさまざまな補助金制度を設定し、運営しています。
この記事では、小売業が活用できる補助金を7つ取り上げ、詳しく解説します。
小売業が活用できる補助金(国による支援)
まずは国(主管:経済産業省、中小企業庁)による支援施策を4つ取り上げ、解説します。
事業再構築補助金
事業再構築補助金では、日本国内に本社を有する中小・中堅企業が行う新分野展開、事業転換、業種転換、業態転換、又は事業再編という思い切った事業再構築に意欲を有する中小企業等の挑戦を支援します。
本事業には、計6つの申請類型があり、最大1.5億円の補助金を受給することができます。(申請類型・要件による)
採択事例
これまで小売業では、次のような採択事例があります。
①飲食店向けの酒類卸売を主要とした、お酒とオーガニック食品の小売店から、ブルワリーを持つ自然派食品店への事業転換
②織物・衣服等の小売業において、マイクロツーリズム需要対応の、触れて、学べて、楽しめる、体験型の絣(かすり)テーマパークを作り直販事業を強化。
③食料品小売業において、カフェ事業を展開し、新規顧客層の開拓を行う。
参照:採択事例紹介
ものづくり補助金
ものづくり補助金では、中小企業・小規模事業者等が今後複数年にわたり相次いで直面する制度変更(働き方改革や被用者保険の適用拡大、賃上げ、インボイス導入等)等に対応するため、中小企業・小規模事業者等が取り組む革新的サービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善を行い、生産性を向上させるための設備投資等を支援します。
製造業に限らず、以下のとおり要件を満たせばさまざまな業種が対象となります。いずれも、示された資本金・従業員数以下であることが必要です。
- 製造業、建設業、運輸業、旅行業:資本金3億円、常勤従業員数300人
- 卸売業:同1億円、100人
- サービス業(ソフトウェア業、情報処理サービス業、旅館業を除く):5,000万円、100人
- 小売業:5,000万円、50人
- ゴム製品製造業(自動車又は航空機用タイヤ及びチューブ製造業並びに工業用ベルト製造業を除く):3億円、900人
- ソフトウェア業又は情報処理サービス業:3億円、300人
- 旅館業:5,000万円、200人
- その他の業種(上記以外):3億円、300人
5つの申請類型があり、最大4,000万円の補助金を受給できます。(申請類型・要件による)
採択事例
小売業では、次のような採択事例があります。
①灯油の受注宅配において、電話受注から「ネット注文サービス」を構築することで、受注ロスを削減。
②スーパーマーケットにおいて、農産物を低温熟成できる設備を導入し、農産加工食品の開発・販路拡大を実施。
③スポーツ用品店において、(1)ネーム刺繍機と(2)レーザー加工機を導入し、名入れ・刺繍加工を内製化。
IT導入補助金
IT導入補助金は、中小企業・小規模事業者等がITツールを導入する際に活用できる補助金です。既に令和4年度分の公募は終了していますが、令和5年度も実施予定です。
計4つの申請類型に分かれ、ソフトウェア購入費やクラウド利用費、PC・タブレット等の購入費用に対する補助が受けられます。
採択事例
小売業の採択事例として、以下のような事例が挙げられます。
①お土産を購入したり食事をしたりできるドライブインにおいて、観光客対応のためロボット型接客ツールを導入。外国人観光客対応を可能にし、接客時間の短縮にもつながった。
②自動車の販売・整備等を行う小売業にて、会計・給与計算システムの連携により業務時間を短縮。
③建材を販売する企業において、ITツールの導入によって、日々変動する仕入れ価格、需要を集計・分析し、『長年の勘』からの脱却に繋がった。
参照:ITツール活用事例
小規模事業者持続化補助金
小規模事業者持続化補助金(=持続化補助金)は、持続的な経営に向けた経営計画に基づく、地道な販路開拓等の取組や、その取組と併せて行う業務効率化(生産性向上)の取組を支援するため、それに要する経費の一部を補助するものです。
令和5年3月10日から令和4年度第2次補正予算分の申請受付が開始となりました。
これまでの内容から一部拡充され、要件を満たせば最大250万円の補助が受けられます。(申請類型・要件による)
これまでのインボイス枠が廃止となり、計5つの申請類型に分かれています。
採択事例
小売業の採択事例には、以下のような事例があります。
①移動販売車によるお弁当・お総菜の販売
②フードロスにも貢献できる熟成干し芋の効率的な製造と販売事業
③ネット販売での販路拡大とセミセルフレジ導入による業務効率化
小売業が活用できる補助金(自治体による支援)
次に、各自治体による主な支援施策を3つ取り上げ、それぞれの目的と補助上限額・補助率に注目して解説します。
東京都:インバウンド対応力強化支援補助金
東京都及び(公財)東京観光財団では、東京都内の宿泊施設、飲食店、免税店、体験型コンテンツ提供施設等が、訪都外国人旅行者のニーズに対応した利便性や快適性を向上させる目的で新たに実施する受入対応強化の取組を支援しています。
補助上限額・補助率
補助金額
宿泊施設、飲食店、免税店、体験型コンテンツ提供施設、観光バス事業者向け:1施設・店舗・営業所あたり上限300万円
※無線LAN設置の場合は、設置箇所数に15,000円を掛けた金額と補助対象経費の1/2の金額のいずれか低いほうの金額
※設置箇所数は対象施設ごとに上限あり
中小企業団体等、観光関連事業者グループ向け:1団体・グループあたり上限1,000万円
補助率:1/2
※「災害時における外国人旅行者の受入対応」事業は2/3
東京都:アドバイザーを活用した観光事業者 支援事業補助金
東京都及び(公財)東京観光財団では、観光事業者の経営改善を早期に実現し、事業継続につなげていくことを目的に、新型コロナウイルスにより大きな影響を受けた観光事業者が、アドバイザーの助言を受けて行う経営の改善や新しい事業の展開に向けた取組を支援しています。
補助上限額・補助率
補助金額:1事業者200万円
(ただし、アドバイザーの助言を受けて取り組む事業に要する経費のうち、コンサルタント経費については100万円を限度)
補助率:2/3
福岡県:福岡県移動スーパー参入促進費補助金
移動販売車で買い物が困難な地域を巡回し、地元スーパーの食品や日用品の販売を行う、「移動スーパー」に取り組む事業者を支援します。
補助上限額・補助率
補助金額:150万円
ただし、市町村から補助を受けることが条件で、市町村からの補助額を超えない範囲での補助となります。
補助率:1/3
まとめ
今回は全国の小売事業者が活用できる、国による支援策と、自治体による支援策について7つ取り上げ、解説しました。
補助金制度を活用し、ぜひ、事業にお役立てください。