事業再構築補助金とは?概要をわかりやすく解説

公開日 2023/02/20更新日 2023/02/20

著者 佐藤淳 / 公認会計士

※記事内容は記事更新日時点の情報になります。最新の情報は必ず省庁や自治体の公式HPをご確認ください。

コロナ禍における原油価格・物価高騰などの影響で厳しい経営環境にある中小企業を支援するため、政府(経済産業省)は「事業再構築補助金」を設けています。

この記事では、事業再構築補助金について公募要領の抜粋とあわせ詳しく解説します。

ただし公募情報は今後変更される可能性があるので、申請の際は必ず公募要領をご確認ください。

事業概要

ポストコロナ・ウィズコロナ時代の経済社会の変化に対応するための企業の思い切った事業再構築を支援します。

参照:事業再構築補助金 公式HP

ポイント解説

厳しい社会・経済状況下でも新しい事業展開や業態転換などを検討する中小・中堅企業向けの補助制度です。幅広い用途に活用できるうえ、補助金額は最大1.5億円(申請枠・要件による)と高額であるため、多くの中小企業が申請・活用しています。

事業目的

本事業は、新型コロナウイルス感染症の影響が長期化し、当面の需要や売上の回復が期待し難い中、ウィズコロナ・ポストコロナの時代の経済社会の変化に対応するために新分野展開、業態転換、事業・業種転換、事業再編又はこれらの取組を通じた規模の拡大等、思い切った事業再構築に意欲を有する中小企業等の挑戦を支援することで、日本経済の構造転換を促すことを目的とします。

参照:事業再構築補助金 第9回公募要領

補助対象者

本事業の補助対象者は、日本国内に本社を有する中小・中堅企業(*)とします。
(*)条件の詳細については、公募要領(8頁)をご参照ください。

また、補助対象者の要件は本事業の公募開始日の時点で満たしている必要がありますが、コロナ以前(2020年3月31日以前)から創業を計画しており、2020年4月1日から2020年12月31日までに創業した場合は、特例的に支援の対象となります。

この場合、売上高の減少要件は、2020年4月以降の連続する6か月間のうち任意の3か月の合計売上高を、2020年の創業時から同年12月末までの1日当たり平均売上高の3か月分の売上高との比較して10%減少していることが必要です。

参照:事業再構築補助金 第9回公募要領

ポイント解説

全国の中小企業・中堅企業が補助対象です。
また要件として、コロナ禍以前と比較して売上が減少していることが必要です。

補助対象事業の類型及び補助率等

本事業には、以下6つの事業類型があります。

  • 通常枠
  • 大規模賃金引上枠
  • 回復・再生応援枠
  • 最低賃金枠
  • グリーン成長枠
  • 原油価格・物価高騰等緊急対策枠(「緊急対策枠」)」

申請類型ごとの補助金額と補助率は、次のとおりです。

【通常枠】

補助金額

中小企業、中堅企業ともに
従業員数20人以下:100万円~2,000万円
同21~50人:100万円~4,000万円
51~100人:100万円~6,000万円
101人以上:100万円~8,000万円

補助率

中小企業:2/3(6,000万円を超える部分は1/2)
中堅企業:1/2 (4,000万円を超える部分は1/3)

【大規模賃金引上枠】

補助金額

中小企業、中堅企業ともに
従業員数101人以上:8,000万円超~1億円

補助率

中小企業:2/3 (6,000万円を超える部分は1/2)
中堅企業:1/2 (4,000万円を超える部分は1/3)

【回復・再生応援枠】

補助金額

中小企業、中堅企業ともに
従業員数5人以下:100万円~500万円
6~20人:100万円~1,000 万円
21人以上:100万円~1,500万円

補助率

中小企業:3/4
中堅企業:2/3

【最低賃金枠】

補助金額

中小企業、中堅企業ともに
従業員数5人以下:100万円~500万円
6~20人:100万円~1,000万円
21人以上:100万円~1,500万円

補助率

中小企業:3/4
中堅企業:2/3

【グリーン成長枠】

補助金額

中小企業:100万円~1億円
中堅企業:100万円~1.5億円

補助率

中小企業:1/2
中堅企業:1/3

【緊急対策枠】

補助金額

中小企業、中堅企業ともに
従業員5人以下:100万円~1,000万円
6~20人:100万円~2,000万円
21~50人:100万円~3,000万円
51人以上:100万円~4,000万円

補助率

中小企業:3/4(※1)
中堅企業:2/3(※2)

(※1)従業員数5人以下の場合500万円を超える部分、従業員数6~20人の場合1,000万円を超える部分、従業員数21人以上の場合1,500万円を超える部分は2/3
(※2)従業員数5人以下の場合500万円を超える部分、従業員数6~20人の場合1,000万円を超える部分、従業員数21人以上の場合1,500万円を超える部分は1/2

補助対象経費

補助対象となる経費項目は、次のとおりです。

  • 建物費
  • 機械装置・システム構築費
  • 技術導入費
  • 専門家経費
  • 運搬費
  • クラウドサービス利用費
  • 外注費
  • 知的財産権等関連経費
  • 広告宣伝・販売促進費
  • 研修費

各経費項目の詳細については、公募要領の25頁以降をご参照ください。

応募手続き等の概要

現在行われている第9回の公募スケジュールは、以下のとおりです。

  • 公募開始:令和5年1月16日(月)
  • 申請受付:令和5年2月15日(月)18:00
  • 応募締切:令和5年3月24日(金)18:00

事前着手申請の手続き

本補助金の交付決定前に事業を開始した場合は、原則として補助金の交付対象となりません。

ただし、新型コロナウイルス感染症の影響が長期化して事業活動に大きな支障が生じた状況を配慮し、事務局が事前着手の承認を行った場合は、令和3年12月20日以降に購入契約(発注)を行った事業に要する経費を補助対象経費とすることができます。

なお、交付決定前に事業着手が承認された場合でも、補助金の採択を約束するものではありません。

また、令和3年12月19日以前に行われた購入契約(発注)等については補助対象経費として認められません。

事前着手申請を行う方は、本事業の申請とは別に、事前着手のための申請を事務局にjGrantsよりご提出ください。

受付期間:令和5年1月16日(月)~交付決定日まで(→項目タグ)

問い合わせ先:
事業再構築補助金事務局コールセンター
受付時間:9:00~18:00(日・祝日を除く)
電話番号:
ナビダイヤル0570-012-088
IP電話03-4216-4080

まとめ

事業再構築補助金の概要と目的、補助金額と補助率や経費項目などについて解説しました。

今回の公募で9回目となるこの補助金は、多くの中小・中堅企業に活用されています。

ぜひ、自社の事業維持・拡大にお役立てください。

中小企業庁認定 経営革新等支援機関 有限責任監査法人トーマツ(Deloitte Touche Tohmatsu)の東京オフィスに6年間、シアトルオフィスに2年間勤務。 2015年よりアジア最大級の独立系コンサルティングファームの日本オフィスにて事業戦略の構築支援、M&Aアドバイザリー、自己勘定投資の業務に従事

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