令和4年度補正予算 省エネルギー設備への更新を促進するための補助金(省エネ補助金)とは?

公開日 2023/02/02更新日 2023/02/02

著者 金澤 正 / 公認会計士

地球温暖化や大気汚染といった地球環境問題への対応は、世界的にも「待ったなし」の状況です。

日本でも、2030年におけるエネルギーミックスの達成や、2050年のカーボンニュートラル実現に向けて、政府が前向きに諸施策を展開しています。

その一環として、政府(主管:経済産業省)が実施する省エネ関連の補助金施策のうち、令和4年度当初予算において「先進的省エネルギー投資促進支援事業」が実施されました。

令和4年補正予算・令和5年度においても、同一趣旨の内容で以下の2つの補助金事業が行われます。

  • 令和4年度補正予算 省エネルギー設備への更新を促進するための補助金(省エネルギー投資促進支援事業費補助金、省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金)
  • 令和5年度 先進的省エネルギー投資促進支援事業費補助金

令和4年度補正予算 省エネルギー設備への更新を促進するための補助金 

本事業では、省エネ性能の高い設備への更新等にかかる費用を補助することで、エネルギー価格高騰に苦しむ中小企業等の省エネ対策を促進します。

事業目的 

本事業は、工場・事業場における省エネ性能の高い設備・機器への更新や複数事業者の連携、非化石エネルギーへの転換にも資する先進的な省エネ設備・機器の導入を支援することで、「2030年度におけるエネルギー需給の見通し」の達成に寄与することを目的とします。

企業の複数年にわたる投資計画に対応する形で今後3年間で集中的に支援し、特に中小企業の潜在的な投資需要を掘り起こします。

令和4年度補正予算額は500億円(国庫債務負担含め総額1,625億円)となっています。

参照:経済産業省/令和4年度補正予算の事業概要
(PR資料)

事業概要

事業概要は次のとおりです。

(1)先進事業
工場・事業場において大幅な省エネを実現できる先進的な設備の導入を支援します。
(2)オーダーメイド事業
個別設計が必要な特注設備等の導入を含む設備更新やプロセス改修等を行う省エネ取組に対して支援を行います。
(3)指定設備導入事業
省エネ性能の高いユーティリティ設備、生産設備等への更新を支援します。
(4)エネルギー需要最適化対策事業
エネマネ事業者等(※1)と共同で作成した計画に基づくエネルギーマネジメントシステム(以下、EMS)制御や高効率設備の導入、運用改善を行うより効率的・効果的な省エネ取組について支援を行います。

※1 エネマネ事業者:一般社団法人環境共創イニシアチブ(以下、SII)の指定した要件を満たすEMSを用いて、エネルギー管理支援サービスを提供する事業者のこと

※2 EMS:エネルギーの使用状況を可視化し、照明や空調、設備機器の稼働を制御することでエネルギーの運用を最適化するためのシステム

補助率・補助上限額

(1)補助率:中小企業2/3、大企業1/2
   上限額:15億円(非化石転換設備の場合は20億円
(2)補助率:中小企業1/2、大企業1/3
   ※投資回収年数7年未満の事業は、中小企業1/3、大企業で1/4
   上限額:15億円(非化石転換設備の場合は20億円
(3)補助率:1/3
   上限額:1億円
(4)補助率:中小企業1/2, 大企業 1/3
   上限額:1億円

令和5年度 先進的省エネルギー投資促進支援事業費補助金

制度の趣旨は「令和4年度補正予算 省エネルギー設備への更新を促進するための補助金」と同様です。

令和5年度予算案額は261億円となっています。

参照:令和5年度経済産業省予算案のPR資料一覧:エネルギー対策特別会計

令和5年度予算案 先進的省エネルギー投資促進支援事業費補助金

事業目的

工場・事業場において実施されるエネルギー消費効率の高い設備への更新等を以下事業概要の取組を通じて支援します。なお、当該支援に必要な一部業務のサポート事業を実施します。

事業概要 

事業概要は次のとおりです。令和5年度からは、これまで実施されていた「指定設備導入事業」が行われないため、ご注意ください。

(1)先進事業
高い技術力や省エネ性能を有しており、今後、導入ポテンシャルの拡大等が見込 める先進的な省エネ設備等の導入を行う省エネ投資について、重点的に支援を 行います。
(2)オーダーメイド事業
個別設計が必要な特注設備等の導入を含む設備更新やプロセス改修等を行う省エネ取組に対して支援を行います。
(3)エネマネ事業
エネマネ事業者と共同で作成した計画に基づくEMS制御や高効率設備の導入、運用改善を行うより効率的・効果的な省エネ取組について支援を行います。

補助率・補助上限額

(1)補助率:中小企業10/10,大企業3/4
  上限額:15億円
(2)補助率:中小企業10/10,大企業3/4
  ※投資回収年数7年未満の事業は、中小企業者等で1/3以内、大企業・その他で1/4以内
  上限額:15億円
(3)補助率:中小企業1/2, 大企業1/3
   上限額:1億円

過去公募からの変更点

令和4年度補正予算・令和5年度予算の実施内容には、令和4年度予算から一部変更があります。

ここでは、各変更箇所を解説します。

令和4年度予算から令和4年度補正予算における変更箇所

「令和4年度 先進的省エネルギー投資促進支援事業費補助金」と「令和4年度補正予算 省エネルギー投資促進支援事業費補助金、省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金」においては補助事業の趣旨は同じであるものの、補助金名称のほか、補助率が異なります。

「(1)先進事業」「(2)オーダーメイド事業」の補助率は中小企業者等の場合10/10以内、「(3)指定設備導入事業」では定額となっていましたが、補正予算においてはそれぞれ、2/3、1/2、1/3に変更されました。

令和4年度予算から令和5年度予算における変更箇所

令和5年度予算では、既述のとおり、これまで実施されていた「指定設備導入事業」が行われません。

また、各事業の補助率は、令和4年度補正予算ではなく、令和4年度予算と同様となりますのでご注意ください。

申請スケジュール 

未定
*事務局に確認したところ、後述する公募元(SII)からの募集リリースは今年度内目途とのことです。

過去公募回における採択率 

令和4年当初予算において、SIIが公募元となり、令和4年度先進的省エネルギー投資促進支援事業を募集し、その採択結果について公表しています。

詳細は下図をご参照ください。

なお、同趣旨の補助金は10年以上前から継続的に実施されており、下記サイトには平成25年以降の採択状況が公開されています。左下にある「過去の事業」からご参照ください。

参照:一般社団法人 環境共創イニシアチブ(SII)令和4年度 先進的省エネルギー投資促進支援事業

令和4年度補正予算「省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金」に係る補助事業者についても、既にSIIに決定しています。

そのため、公募については詳細が決まり次第、SIIより公表されます。

問い合わせ先

〒100-8901 東京都千代田区霞が関一丁目3番1号
経済産業省 資源エネルギー庁 省エネルギー・新エネルギー部 省エネルギー課
担当:渡邉、萩原
電話:03-3501-9726
FAX:03-3501-8396

まとめ

省エネ性能の高い設備への更新などにかかる費用を補助する「令和4年度補正予算 省エネルギー設備への更新を促進するための補助金」「令和5年度 先進的省エネルギー投資促進支援事業費補助金」について解説しました。

補助内容に合致する事業を計画している事業者は、ぜひ、この制度をご活用ください。

公認会計士 デロイト トウシュ トーマツ出身。 東京及びニューヨークにて監査業務に従事したのち、アドバイザリー事業部にて主に財務調査、株式評価、無形資産評価業務に従事。

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