ものづくり補助金とは?中小企業向けにわかりやすく解説

公開日 2023/02/20更新日 2023/02/20

著者 佐藤淳 / 公認会計士

※記事内容は記事更新日時点の情報になります。最新の情報は必ず省庁や自治体の公式HPをご確認ください。

中小企業・小規模事業者等を支援する補助金事業のひとつに、ものづくり補助金があります。

この記事では、ものづくり補助金の目的をはじめ、応募スケジュールや対象事業者など公募要領に沿って、詳しく解説します。

なお、公募内容は変更される可能性があるため、申請時は必ず公募要領をご確認ください。

事業目的

ものづくり補助金の正式名称は「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」となります。

この補助金は、中小企業・小規模事業者等が今後複数年にわたり相次いで直面する制度変更(働き方改革や被用者保険の適用拡大、賃上げ、インボイス導入等)等に対応するため、中小企業・小規模事業者が革新的サービスや試作品開発・生産に関するプロセスの改善を行い、生産性を向上させるために実施する設備投資等を支援することを目的とします。

参照:ものづくり補助金 第14回公募要領

応募手続き等の概要

ものづくり補助金(14次締切分)のに関する概要は、次のとおりです。

公募期間

  • 公募開始:令和5年1月11日(水)17時~
  • 申請受付:令和5年3月24日(金)17時~
  • 応募締切:令和5年4月19日(水)17時

申請方法

申請は電子申請システムのみ受け付けます。

審査結果の通知・公表

採択案件(補助対象予定者)の決定後、申請者全員に対して速やかに採択・不採択の結果を事務局から通知されます。

採択後の手続き

採択後、採択された事業者は自社の補助対象経費を精査し、補助金の交付申請手続きを行います。

ポイント解説

本補助金の申請には、「GビズIDプライムアカウント」の取得が必要です。

アカウント取得までに時間を要する場合がございますので、申請検討中の方はお早めにアカウント取得手続きを行ってください。

補助対象者

本事業の補助対象者は、日本国内に本社および補助事業の実施場所を有し、要件を満たす、中小企業者(組合関連以外)、中小企業者(組合・法人関連)、特定事業者の一部、特定非営利活動法人、社会福祉法人です。

ものづくり補助金における中小企業の定義は、「中小企業のものづくり基盤技術の高度化に関する法律第2条第1項、『中小企業等経営強化法』第2条第1項」に規定する事業者です。

「ものづくり」とあるため対象業種は製造業のみであるように思われがちですが、多くの業種が対象に該当します。

中小企業者(組合関連以外)における、主な業種ごとの条件は次のとおりです。いずれも、示された数値以下であることが必要です。

  • 製造業、建設業、運輸業、旅行業:資本金3億円、常勤従業員数300人
  • 卸売業:同1億円、100人
  • サービス業(ソフトウェア業、情報処理サービス業、旅館業を除く):5,000万円、100人
  • 小売業:5,000万円、50人
  • ゴム製品製造業(自動車又は航空機用タイヤ及びチューブ製造業並びに工業用ベルト製造業を除く):3億円、900人
  • ソフトウェア業又は情報処理サービス業:3億円、300人
  • 旅館業:5,000万円、200人
  • その他の業種(上記以外):3億円、300人

その他の法人種別や条件などの詳細は公募要領の8頁以降をご参照ください。

補助対象事業の申請要件、類型及び補助率等

ものづくり補助金における補助対象事業の申請要件は、次のとおりです。

基本要件

本事業に申請するには、以下の要件を全て満たす3~5年の事業計画を策定することが必要となります。

  • 事業計画期間において、給与支給総額を年率平均1.5%以上増加(被用者保険の適用拡大の対象となる中小企業が制度改革に先立ち任意適用に取り組む場合は、年率平均1%以上増加)させること。
  • 事業計画期間において、事業場内最低賃金(補助事業を実施する事業場内で最も低い賃金)を、毎年、地域別最低賃金+30円以上の水準とすること。
  • 事業計画期間において、事業者全体の付加価値額を年率平均3%以上増加させること。

事業類型

本事業の事業類型には、下記に挙げる5つがあります。

  • 通常枠
  • 回復型賃上げ・雇用拡大枠
  • デジタル枠
  • グリーン枠
  • グローバル市場開拓枠

補助金額・補助率

申請類型ごとの補助金額と補助率は下記のとおりです。

【通常枠】

補助金額

従業員数5人以下:100万円~750万円
同6~20人:100万円~1,000万円
21人以上:100万円~1,250万円

補助率

1/2
小規模企業者・小規模事業者、再生事業者は2/3

【回復型賃上げ・雇用拡大枠】

補助金額

従業員数5人以下:100万円~750万円
6~20人:100万円~1,000万円
21以上:100万円~1,250万円

補助率

2/3

【デジタル枠】

補助金額

従業員数5人以下:100万円~750万円
6~20人:100万円~1,000万円
21人以上:100万円~1,250万円

補助率

2/3

【グリーン枠】

補助金額

エントリー類型
従業員数5人以下:100万円~750万円
同6~20人:100万円~1,000万円
21人以上:100万円~1,250万円

スタンダード類型
従業員数5人以下:750万円~1,000万円
同6~20人:1,000万円~1,500万円
21人以上:1,250万円~2,000万円

アドバンス類型
従業員数5人以下:1,000万円~2,000万円
同6~20人:1,500万円~3,000万円
21人以上:2,000万円~4,000万円

補助率

2/3

【グローバル市場開拓枠】

補助金額

100万円~3,000万円

補助率

1/2
小規模企業者・小規模事業者、再生事業者は2/3

各項目の概要・詳細は公募要領の14頁以降をご参照ください。

補助対象経費

補助対象経費は、本事業の対象として明確に区分できるものであり、その経費の必要性及び金額の妥当性を証拠書類によって明確に確認できるものとなります。

なお、対象経費は、交付決定を受けた日付以降に発注を行い、補助事業実施期間内に支払いを完了したものに限って承認されます。

ものづくり補助金で補助対象となる経費項目は次の9つとなります。

  • 機械装置・システム構築費
  • 技術導入費
  • 専門家経費
  • 運搬費
  • クラウドサービス利用費
  • 原材料費
  • 外注費(上限額=委託費と合わせて補助対象経費総額(税抜き)の2分の1)
  • 知的財産権等関連経費(上限額=補助対象経費総額(税抜き)の3分の1) 等

このほか、申請類型によって対象となる補助対象経費がありますので、詳細については公募要領の20頁以降をご参照ください。

まとめ

ものづくり補助金の目的と概要などについて詳しく解説しました。

ものづくり補助金は令和2年4月28日に採択された1次公募以来、支援の枠組みや内容を順次変更・拡大しながら、多くの中小企業や小規模事業者に活用されてきました。

将来へ向けて、自社の魅力的なサービスや製品を開発し、事業拡大を目指す事業者の方はぜひ、申請をご検討ください。

中小企業庁認定 経営革新等支援機関 有限責任監査法人トーマツ(Deloitte Touche Tohmatsu)の東京オフィスに6年間、シアトルオフィスに2年間勤務。 2015年よりアジア最大級の独立系コンサルティングファームの日本オフィスにて事業戦略の構築支援、M&Aアドバイザリー、自己勘定投資の業務に従事

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